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【10分でわかる花様年華】BTS 花様年華(BU)のストーリーをおさらい

 

世界中で爆発的な人気を誇るBTS。
BTSが世界に羽ばたくほんの少し前、韓国のチャートで初めて一位を記録するなど、彼らの人気を確固たるものに押し上げたのが〈花様年華〉という作品でした。
MVを中心に音楽やダンス、コンセプトフォトなど、様々なコンテンツを通して展開された壮大なストーリーは各楽曲ごとに緻密に入り乱れながら現在進行形でたくさんの謎を残しています。

 

花樣年華の頃の7人が大好きだけど花樣年華ってむずかしそうでよく分からない

花樣年華は好きだけど結局なにを伝えているの?

 

〈花樣年華〉という言葉が注目される一方でこんな疑問を持っている方もいるのではないかと思います。
BTSの〈チャプター1〉のラストを飾った「Yet To Come」のMVの中にも散りばめられた花樣年華と共に歩んできた道のり。

今回はそんな〈花樣年華〉の物語の示す意図を紐解きながら、BTSの新たなステージを100倍楽しむためにとても重要なストーリーを振り返ります。

 

 

花樣年華とBUとは?

 

2020年以降、BTSの人気が爆発して以来〈花樣年華〉という言葉がひとり歩きしていて混同されがちですが、

〈花樣年華〉とは、2015年、青春2部作として発表された3rd MINI ALBUM『花様年華 Pt 1』、『花様年華 Pt 2』と1st SPECIAL ALBUM『花様年華 Young Foever』の3部作のアルバムで構成されたシリーズです。

デビュー当時からMVの中に若干のストーリー性はあったものの、この〈花樣年華〉というアルバムをリリースした時期から様々な楽曲にまたがり繋がっていく明確な一つのストーリーが始まりました。
花樣年華シリーズ以降、現在『MAP  OF THE SOUL:7』まで続いている物語のすべてを〈花樣年華〉と呼んでいる人が多い印象がありますが、公式では花樣年華から各アルバムごとに続く一連のストーリーには「BU(BTS Universe)」という名前がついています。

 


「I NEED U」や「FIRE」といった根強い人気曲が多数収録され、切なくも謎の多いMVからBUストーリーの中でも最も印象深い〈花樣年華〉というアルバムシリーズ。

アルバムのタイトルの〈花樣年華〉とは2000年に制作されたウォン・カーウァイ監督のロマンス映画のタイトルとしても有名で“人生で最も美しい瞬間”という意味の込められた言葉です。

 

 

“花様年華 : 人生で最も美しい瞬間、青春”
from BTS RM   

 

〈花様年華〉とは、誰もが共感できる“青春の痛み”を伴った儚くも美しい時間の象徴です。
実際には体験していなくても、私たちは誰もがその“時代”の空気や感覚に、いつでもタイムスリップすることができます。
映像や音に散りばめられた物語の仕掛けに触れることで、たとえ彼らの言葉を理解できなくても、誰もが感覚的に物語の中に入り込むことができ、様々な感情を体験することができる。
BTSを世界に送り出したパンシヒョクPDも語っていたように、花様年華には、言葉が通じなくても同じ“想い”を共有できるように…という狙いがあるのです。

 

花様年華のストーリー

 

ここからは花樣年華から続くBUのストーリーを振り返っていきます。

 

花樣年華


〈花様年華〉期のMVはストーリー仕立てになっています。
時系列はバラバラにされ、どこから観ても違和感のない仕掛けになっていますが、観る順番としては、以下の順番をおすすめします。 
※この記事の一番下に記事中に触れた楽曲の再生リストを置いています。

1: I NEED U*1
2:화양연화(花様年華)on stage : prologue*2
3:RUN *3

3つのMVだけでも20分を超え、まるでショートフィルムのような物語が展開されています。

先述の順番はリリース順なので時系列順ではなく色々な考えを強く推す方もいるとは思いますが、リリース時の順番で観ることによって自分で発見した人だけが感じられる驚きや喜びがあると思うので、まずはリリース順に観た方が新鮮な感動を体験できるのではないかと思います。
そして「prologue」のラストでテヒョンが海に飛び込んだシーンから「RUN」の冒頭のシーンは続けて観ることで、より一層物語のつながりを感じることができます。

 

以下の4つのポイントは花樣年華の物語の大きな要素です。

Check!
・7人がそれぞれ問題を抱えている描写
・テヒョンが父親を刺すシーン
・結局7人とも死んでいるのか、生きているのか?
・ジンは何をしているのか?



WINGS

そしてこの物語の謎は“少年が誘惑に出会う”というコンセプトの元、小説『デミアン』などをヒントに創られた新たなアルバム『WINGS』へと繋がっていきます。

WINGS期では「WINGS Short Film」と題された7つのShort Filmにより、花様年華期で示された7人のキャラクターそれぞれの抱えている問題の深層心理がより深く描かれました。
「Blood Sweat & Tears」のMVではガラリと違う世界観を見せながらも7人の行動や役割は「I NEED U」のMVでの動きと関連しています。


「Blood Sweat & Tears」の日本語ver.「血、汗、涙」のMVは同じ出来事を別の角度から描いたような視点で観ることができ、とても分かりやすいのでおすすめです。

そしてMVの最後では「I NEED U」と同じガソリンスタンドのシーンが再度登場するなど、あっと驚く新たな展開と謎が提示されました。

 

BTS (防弾少年団) '血、汗、涙 -Japanese Ver.-' Official MV - YouTube

 

Check!
・なぜガソリンスタンドのシーンは以前と少し異なっているのか
・ジンとテヒョンが殴り合うシーンでは何が起こっているのか
  →「I NEED U」でのテヒョンと父親のシーンと酷似している理由は?
・メンバーたちはそれぞれ何をしているのか
 
そしてこうした謎の数々はLOVE YOURSELFシリーズの始まりと共に少しずつ回収され始めます。
 
 

LOVE YOURSELFで回収された伏線とあたらたな謎

 

LOVE YOURSELFシリーズの始まりとともに公開された『LOVE YOURSELF Highlight Reel '起承轉結’』*4
この新たな物語は「I NEED U」で事故に遭ったジョングク扮するキャラクターのその後の物語と思われる場面から始まります。

この映像作品の最後に語られるジンのナレーションの抜粋です。
(以下、引用部分は意訳を含みますので無断転用はお控えください)

 

時間を戻すことができるなら
ぼくたちはどこに戻るべきだろうか
その場所にたどり着いたら
すべての間違いと過ちを正し
幸せになることができるのだろうか

数え切れないほど多くの季節を繰り返しても
たどり着けない場所がある
結局向き合わなければならないのは
昨日とは違う嵐
その真ん中を突き進んでいくこと
恐れずに愛するということ
ためらいと別れること
ぼく自身として生きていくということ

 

「時間を戻すことができるなら ぼくたちはどこに戻るべきだろうか」という言葉と共に走馬灯のように流れるこれまで登場したいくつもの世界の映像。

これらはすべてこの作品の中で逆再生されています。
このセリフや映像から読み取れるのは、ジンがタイムリープを繰り返しているということです。
このことは後に発売された『花様年華 THE NOTES』という小説や花様年華のウェブトゥーンでも明らかにされており、これまでのジンの不審な行動の答えがここで回収されました。(※THE NOTESはWeverse公式ショップとJPオフィシャルショップのみで販売されていましたが現在は品切れ中、ウェブトゥーンはLINEマンガで読むことが出来ます。)

 

それを知った上で「화양연화(花様年華)on stage : prologue」を振り返ってみると、ビデオをまわす姿や焚き火のシーンなど、ジンだけが明らかに他のメンバーとテンションが違っていたことや疲労感を帯びていたことがこの展開につながっていたことが分かります。
MV内での水に沈んだ後の場面転換や高い場所から飛び降りるといった描写は、映画『インセプション』を筆頭に近年のSF映画等では定番となりつつある、時空間を移動する際に出てくる描写です。

ジンはタイムリープをくり返すことで悲劇的な結末を迎える7人の物語を変えようと奮闘していたのです。


少しずつ謎が明らかになりながらも、突然登場した女の子たちの役割など、またしても新たな謎がいくつか投げられる中、中でもARMYたちの関心をより多く集めたのが“スメラルド”という名前の花の存在でした。

 

 

 

スメラルドの伝説

 


スメラルドとは架空の花の名前です。

リアルタイムで追っていたファンの視点から見た当時の流れを順に説明すると、
『LOVE YOURSELF Highlight Reel '起承轉結’』のリリース前、Twitterにてジンがセルカと共に“スメラルド”という花の名前をUPしたことから始まりました。
それと同時期、まるで実在するかのように9月にオープン予定のスメラルド専門店のブログやインスタグラム、Twitterのアカウントが出現。
これら2つの出来事に関連があることやBTS側が仕掛けたであろう謎のイベントだということは、公式から言及されることは一切なく、インスタグラムの投稿の日時がメンバーの誕生日と一緒だという事やDLした画像のファイル名がBTSのデビュー日になっている…など、世界中のARMYたちにより次々と関連が考察されていきました。

 


架空の花屋である“Testesso”によりUPされた8つのブログ記事*5には、毎回スメラルドにまつわるお話が少しずつUPされていき、架空の話なのか、現実の話なのか、BTSのアルバムに何か関係があるのか、そもそもこれは公式からの発信で運営されているものなのか…何一つ明言されないまま進んでいく謎の物語はARMYたちの間で大きな反響を呼びました。

以下、LOVE YOURSELFカムバック前の時期に公開された8つの記事の中で語られたスメラルドにまつわるお話の要約です。(※2017 LYSカムバック前にUPされたブログ記事より)

 

Check!
・スメラルドの花言葉は“non potevo dire la verità ”(イタリア語で“伝えられなかった真心”という意味)
・La Città di smeraldo(スメラルドの都市)で発見された
・熱狂的な人気を集めるも現在もイタリア北部でしか栽培できず希少な花であるということ
・スメラルドからインスピレーションを得て作られたカードの話
 (カードの意味は正位置で〈実り、開花〉逆位置で〈没落、終わり、新たなるスタート〉)

・「スメラルドの伝説」という花にまつわる悲しい物語のあらすじ
・「スメラルドの伝説」を彷彿とさせる店主の体験談・不思議な縁を感じたとびこみの予約客(ジン)の話
 

 

スメラルドの伝説のストーリーの要約です。

 

 

スメラルドにまつわる悲しい伝説に花屋の店主は自身の過去を重ねていました。

「もしも恐れることなく自分をさらけ出していたら、何かが変わったのだろうか…。」という感想を吐露した花屋の店主もまた、思いを伝えられないままに大切な人を失った過去を持っていたのです。

 

オープンも間近に迫った頃更新されたブログに“突然予約客が飛び込んで来た”というエピソードとそのお客さんのサインの入ったポストイットが公開されました。

そこに書かれたサインの筆跡がジンの文字と酷似しており、ここでやっと『LOVE YOURSELF Highlight Reel '起承轉結’』の物語との関連が浮き彫りになっていきます。

店主は予約客がその花を贈る相手にとって「良い人になりたい」と話していたと記していましたが、LOVE YOURSELFのTeaserフォトでジンの隣に書かれた文字は「もしも時間が戻せるのなら この世界で一番良い男になりたい」という言葉でした。そして『Highlight Reel』でスメラルドの花束を抱えたジンを待ち受ける結末は、まるでスメラルドの伝説のように悲劇的な結果となってしまうのです。

 

スメラルド専門店の店主がかつて大切な人を亡くしたという話に登場した、最後に目撃された“誰かを見つけて急に道路へと駆け出していった彼女”の姿は、『LOVE YOURSELF Highlight Reel '起承轉結’』のシーンを彷彿とさせますが、これは単に同じような悲しい愛の結末…という意味なのでしょうか。

それともこの二つの関連するストーリーには今後明かされるかもしれない謎がまだ隠されているのでしょうか。

 

このようにバラバラだった点と点がつながり、物語により深い世界観を感じさせたスメラルドの伝説。

スメラルドの花言葉と同名の『The Truth Untold(伝えられなかった真心)』という曲の内容は、スメラルドの伝説の風景と同じ世界観であり『FAKE LOVE』のMVの舞台もまた、古城を彷彿とさせたり、仮面をつけ自分の姿を隠すメンバーの姿、ジンの抱えるガラスケースの中のスメラルドの花など、様々な関連により壮大な物語をつくりあげていました。

 

そして、いつの間にかすべての記事や投稿が削除され、メンバーや事務所からも何も言及されないまま終わったかのように見えたこのスメラルドに関連する物語ですが、その後も何事もなかったかのように何度も“スメラルド専門店オープンのお知らせ”のブログ記事がUPされています。

まるで時間が巻き戻ったかのような同じ内容の記事が何の説明もなくUPされていくのですが、お店のオープン時期がLOVE YOURSELF期にUPされた記事内では“9月”だったことに対し“8月末”に変わっていたり、2017年版ではブログの8話にBUストーリー上のジンと思われるメンバーが登場していましたが、2020年版では3話でこれまでスメラルドの花屋の店主のブログには登場しなかったジミンと思われる登場人物がジンの代わりに登場するなど、少しずつ違う描写が織り交ぜられています。

2022年『Proof』の発売前にも再びスメラルドのインスタグラムのアカウントが動き出し、いつものように何の説明もないまま2022年5月22日を最後に更新がストップしています。

ちなみに2022年5月22日の投稿は海の写真ですが、花樣年華の物語上でも7人で海に向かった日です。

 

 
 
 
 
 
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“海にいる”という共通点についてはいまだ明らかにされていませんが、スメラルドの花屋が花を運ぶトラックという形態になったことに関してはこちらの考察で合っているのではないかと思うので興味のある方は下記ツイートをご覧ください。

 

 

またスメラルドが発見されたのは「La Città di smeraldo(スメラルドの都市)」という名前の村でした。

この言葉を検索すると『オズの魔法使い』の「エメラルドシティ」が出てきます。

 

2020年、デビューの記念日に配信されたHONEY FM06.13。

その中の物語を朗読するコーナーでメンバー7人が読んでくれた物語は『オズの魔法使い』でした。

エメラルドシティとは、虹の向こうにあるなんでも叶う夢の都です。

2020年6月に先行配信された『Stay Gold』のMVでは美しい花の咲き乱れるユートピアにたどり着いた7人の姿が描かれました。

 

このバラバラの点と点はただの偶然の連鎖なのでしょうか?
その点となる物語や関連する作品から感じるノスタルジーやメッセージ性など、いくつもの記憶の中の引き出しをのぞくことで柔らかくなった心や謎に魅せられた期待感は、その先に新しく届く新たな作品を、より一層愛おしく大切な作品に昇華しているのではないかと考えています。

 

Euphoria・反転した世界

『LOVE YOURSELF Highlight Reel '起承轉結’』に続き公開された『Euphoria : Theme of LOVE YOURSELF 起 Wonder』。

冒頭のシーンは「화양연화(花様年華)on stage : prologue」のMVでテヒョンが飛び降りる場面から始まります。
そうしてまた走馬灯のように映し出されるこれまでの映像。
見たことのない、現実のようでどこか違和感の漂う世界で戯れる7人の姿。

この物語の後半で、すべての悲しい出来事が塗りかえられていきます。
そして『화양연화(花様年華)on stage : prologue』のラストシーンのように飛び込み台に登るメンバーとそれを見守る6人。以前と違うのはそこに登るのがテヒョンからジンに変わっているということと、以前は残りの6人で楽しそうに声をかけていたのに対して、この映像の中では、テヒョンだけは意味深な表情を浮かべ、ジンを見つめています。
そしてラストシーン、真っ暗な画面に現れた
「兄さん、それで全てですか?僕たちに隠していることがもっとあるんじゃないですか?」という言葉。

 

Check!
・走馬灯のように流れる映像
・逆再生され塗り替えられていくこれまでの出来事
・楽しそうに戯れる7人の浮世離れした空気感の理由
・飛び込み台からジャンプするメンバーがテヒョン→ジンに交代している理由は?

 

ここまでが、現在公開されている花樣年華から続くBUのストーリーの概要です。

 

 

MAP OF THE SOUL( 魂の地図へ)


LOVE YOURSELFシリーズを締めくくるスペシャルアルバム『LOVE YOURSELF 結 Answer 』のComeback Trailerとして公開された『Epiphany』*6
このMVの最後に現れたメッセージにはこのようなことが書かれていました。

 

自分を探す旅の最後にたどり着いたのは
再び元の場所
結局、探すべきものは
すべての始まりであり
道しるべは魂の地図
誰にでもあるけれど、誰にも探すことができない
それを
僕はこれから見つけたいんだ 

 

花様年華の物語の中でタイムリープをくり返すジン。
彼がこれから向かう物語の道しるべは“魂の地図”であり、〈LOVE YOURSELF〉後に新たに幕を開けたコンセプトのタイトルがこの“魂の地図”という言葉と彼らの故郷である“ソウル”をかけた言葉〈MAP OF THE SOUL〉というものでした。

まるで数珠つなぎのように前のコンセプトのキーワードをつなぎ数々の謎や疑問を投げかけ壮大な物語を紡ぎ続けるBTSの〈花様年華〉の世界。
その架空の物語の中で各メンバーが担う役割は奇しくも、現実世界のメンバーたちの見せる成長と重なる部分があります。
例えばジミンくんはいつも閉鎖的な空間に閉じ込められ、出口のない長い廊下を歩き、やがて扉を見つけ開きます。まるでストイックで完璧主義だった彼がたくさんの新しい世界の扉を開き、様々な人たちと出会う中で明るく開放的になったように。
MV内で炎に飲み込まれたSUGAは、自身の一作目のMixテープ内で“ミン・ユンギは死んだんだ。俺がころした”と語っていましたが『MAP OF THE SOUL:7』のソロ曲「Interlude : Shadow」のMVや新しいMixテープの中で「俺がボスだ 俺がキングだ」と君臨する姿は自身を燃やし尽くしても尚、何度も蘇る物語の中の姿と重なります。THE NOTESでも彼にかけられた言葉の中に“再生”というキーワードがありました。


個人的には架空の物語の中に、実際のメンバーの名前が使われることに少なからず抵抗があり、あくまでも物語はただの作り話であって、現実は現実と割り切っていますが、彼らが音楽を通して伝えたい思いと、それと並行し展開されるまったく別の物語は不思議に共鳴し合いながら存在しているのかもしれません。

 

ちなみに『MAP OF THE SOUL: 7』のアルバム内に封入されていたTHE NOTESでは“魂の地図”というキーワードの他、“一緒にいれば笑うことができる”というキーワードが出てきていました。
この言葉は、WINGS期のアルバム『You Never Walk Alone』のラストを飾った「A Supplementary Story : You Never Walk Alone」やWINGSツアーのVCRでも登場した、とても重要なキーワードで、“一緒にいれば笑うことができる”という架空の物語の中で紡がれた言葉は、奇しくも現実世界の7人が一緒にいる姿やBTSとARMYの関係を彷彿とさせます。

 

わたしたちの花様年華


世界中にいるARMYたちの中にダイレクトに彼らの言葉を理解できるファンはどれぐらいいるのでしょうか?
各コンセプトの題材になった『デミアン』(「WINGS」)や『オメラスを去る人々』(「Springday」MV)などの文学に精通し『MAP OF THE SOUL:7』のヒントになったユング心理学などの多様な知識を、はじめから持っていたARMYがどれだけいるのでしょうか?
おそらくそれを一度で理解できるほどの知識を持ったファンは本当に本当に一握りのはずです。
多くの人がよく分からないまま、彼らの壮大なストーリーに触れていることでしょう。
しかし、言葉が分からなくても、そこに隠された意味に気づけなくても、私たちは、彼らの音や映像やその物語に心を動かされています。
分からなくても悲しく、分からなくても幸せな気持ちになれる。

 

“共感すること”


それこそが〈花様年華〉の目的なのではないでしょうか?

そしてそれらの複雑な物語は私たちの好奇心を刺激します。
彼らの言葉を知ることができたら、きっともっと感動できるだろう。MVに隠された意味を知ることができたらもっと深くその意味を理解できるかもしれない。コンセプトに関連した書籍を読んでみようか、幼い頃に触れた物語をもう一度読み返してみようか…?など、私たちは“好き”という気持ちから生まれる好奇心により、〈花樣年華〉という壮大な物語にあらゆる感情や知識を学ぶきっかけを知らず知らずのうちに与えられているのかもしれません。

きっとそれは、彼らと共に自分自身を探す旅であり、誰にでもあるけれど、誰にも探すことができない何かを見つける旅なのではないでしょうか?


昨日の自分も今日の自分も明日の自分も、
完ぺきではないけれど美しく愛すべき自分。
自分を愛することは世界を愛すること…。
そして私たちはどんな時でも
“一緒なら 笑いあうことができる”のです。

 

 

BTSの9年間の歩みを詰め込んだ『Proof』に収録された「Yet To Come(The Most Beautiful Moment)」
サブタイトルの“The Most Beautiful Moment(花樣年華)”という言葉が掲げられた楽曲のMVは、デビュー曲のMVに登場していた黄色いバスをはじめ、これまでリリースされた楽曲のMVに登場したアイテムが数多く登場します。

私たちファンの中にはデビューしたその日から彼らを知っていた人たちもいれば「Dynamite」をきっかけに7人を知った人もいるでしょう。
人それぞれ、自分が必要とした最良のタイミングで私たちは7人の最高に素敵な人たちを見つけるのだと思います。
そして楽曲だけでは追体験することのできない感情もBUというストーリーを通して少しばかりは感じることができるのではないでしょうか。
BUを通して展開される彼らの架空の物語は、きっとどんなタイミングで7人を好きになろうとも、そのいくつも枝分かれした世界の数だけ私たちの“好き”という想いを無限に大きく広げていく手助けをしてくれているのかもしれません。

 

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