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BTS JIN(ジン)ソロ曲『The Astronaut』徹底解剖【歌詞和訳・MV考察】

 

2022年10月28日にリリースされたBTS  JIN(ジン)のソロシングルアルバム『The Astronaut』。
BTSの『My Universe』に続いて再びColdplayとのコラボレーションにより生まれた幻想的で美しいその楽曲には、しばしの別れの前にJINからARMYへ向けて贈られた温かなメッセージが込められています。

曲中の“I feel this way I’ve never felt(これまで味わったことのない気持ちなんだ)”という歌詞のように、 聴いていると言葉にできない想いが溢れてくる愛に溢れたこの楽曲に込められた歌詞の意味やMVから受け取ることのできるメッセージについて解説・考察していきます。

 

 

The Astronautができるまで

『The Astronaut』(読み方は‘アストロノート’)はアコースティックギターとシンセの音色が心地良く調和し幻想的な美しさを構築しているポップロックジャンルの楽曲です。
ジン自身が書いた詩には“BTSのJIN”という存在を作ってくれたARMYへの想いが込められており、「あてもなく流れていた僕(JIN)」とそんな「僕の夢を見つけてくれた君(ARMY)」の物語となっています。
またこの楽曲には「いつでも自分を輝かせてくれたARMYへの感謝と愛情をたっぷり込めた」と発売日に公開されたインタビューにて語っていました。

 

JIN×クリス・マーティンの美しく温かなシナジー

『My Universe』に続くColdplayとのシナジーにより生まれた『The Astronaut』。
この楽曲が生まれたのはリリース日の約半年前、「入隊前にファンたちへ向けてしばらくの別れの挨拶とファンに対する愛を伝える歌を作りたい」…というジンの希望により動き始めたというビハインドストーリーがあります。

 

The Spheresというコンセプトについて

また『My Universe』も収録されているColdplayのアルバム『Music Of The Sphere』は架空の惑星系‘The Spheres’を舞台にした作品となっており、各楽曲に一つの惑星が対応しているというコンセプトとなっているそうです。
(『My Universe』のMVの物語もこの‘The Spheres’が舞台となっています。)

『The Astronaut』のコンセプトフォトでは黄色い惑星を抱えているジンの姿と青い惑星をバッグに佇むジンの姿が公開されました。

 

青い惑星について

青い惑星には対応する楽曲がなくまだ明かされていないことからファンの中で“失われた惑星”と呼ばれているそうです。ジンの後ろに青い惑星が映っていたことから13曲目の幻の楽曲が『The Astronaut』なのではないか、という説が一部海外のファンの中で囁かれているようです。

 

黄色い惑星について

ジンが抱えている黄色い惑星については、‘The Spheres’の中の‘Human Heart’ととてもよく似ており個人的にはこちらの惑星を抱えているのではないかと推測しています。
‘Human  Heart’=人の心臓を抱えているというコンセプトは“花樣年華”で7人の心臓を持っているかのような描写がたびたび描かれるジンの姿とも重なります。
そして何よりこれまでリリースされた楽曲を通していつでも温かで率直な真心を届けてくれた彼に‘Human Heart’はとてもとてもよく似合っています。

 

 

そして『Music Of The Sphere』のアルバム・トレーラーのEveryone is an alien somewhere(誰もが皆、どこかでは宇宙人だ)」というメッセージも、宇宙服を着て彷徨うTeaserの映像からMVで地球に流れ着き暮らし始めるという物語により“宇宙人だった彼が馴染めない世界で一人の少女と出会い心を通わせ居場所を見つける”という『The Astronaut』の世界観とも地続きになっているようで、このことからも一連の壮大な世界観により多種多様なアイデンティティを持つたくさんの人の中で出会った“JINとARMY”という関係性の特別な出会いにも想いを馳せることができるのではないかと思います。

 

The Astronaut  和訳・日本語歌詞

 

『The Astronaut』は先述の通りJIN本人が歌詞の制作に参加しており、ARMYへの想いがたっぷりと詰め込まれています。

 

 

歌詞に込められた特別なメッセージ

目的地もなく漂うあの小惑星のように
僕もただ流されていた
闇の中に見つけた 僕のすべての夢

はじめのverseに出てくるこの詩に、BTSの『MAP OF THE SOUL : 7』に収録されているJINのソロ曲『Moon』の中の次の詩を思い出しました。

僕には名前さえもなかったんだよ
僕が君に会う前までは
君は僕に愛をくれたし
今では僕の‘理由’になったんだ

ジンくんは元々俳優志望だったけれど通学中にスカウトされBighitに所属することになったという話はとても有名ですが、ジンくん自身「20歳になるまで歌には興味がなく苦手だった。天才歌手ではなかったけれど、一生懸命練習して少しずつ上達する姿を見せようと努力しています。」と映画内のインタビューで語っていたように、自分には特別なものは何もないと思っていた彼がARMYとの出会いによって特別になったというこれまでの歩みを感じることができます。

 

2番のverseでの次の詩、

壊れない星のように
君の夢になって
宇宙を旅する

この言葉は、アイドルとして、アーティストとして、いつもポジティブなエネルギーを与えたいとくり返し話し、言葉通りファンを不安にさせない心遣いや態度を幾度となく見せてくれた彼の姿そのものを感じると同時に、“壊れない星(惑星)”という言葉を選択したことの覚悟や信念を感じました。

 

英語詩でくり返されるコーラス部分では、言葉のまま、まっすぐにお互いを想い合うその時に生まれる感情を追体験するかのような多幸感を感じることができます。

暗い道を照らしてくれたあの天の川のように
君は僕に向かって輝いていた

この“天の川”という言葉は『Magic Shop』やVのソロ曲『Inner  Child』にも登場する単語ですが、どちらの曲中でも“人の心の中の銀河”という意味と、言葉通りの“空を見上げた時に見える星々”という意味として使われています。そして『Magic  Shop』での“天の川”にはもう一つ、コンサート中ファンたちが照らすペンライトの光を意味するとも考えられるように、この曲中で登場する“天の川”や“a sparkle in your eyes(君の瞳の瞬き)”という言葉には、ARMYたちがそれぞれの時をメンバーと共に過ごしたコンサートでの、あの何事にも変え難い瞬間を彷彿とさせます。

 

 

MVから読み解く未来への約束

MVのストーリー

公式から出ているMVの概要は
「宇宙での長い遊泳の果てに、ついに愛する人々のいる地に残ることを選んだ宇宙飛行士の旅を描いた物語」となっていて、宇宙から地球にやってきた、笑うことを知らない宇宙人のJINが一人の少女と出会い、共に過ごす日々の中で笑うことを知り、地球に残る選択をするというストーリーです。

MVに登場する女の子は10歳ぐらいの年齢に見えますが、ARMYというファンダムもまたもうすぐ10年目を迎えます。
MVの中でサイズの合わない服を着た無表情の宇宙人に興味を示した女の子は一緒に自転車に乗る練習をしたり、無表情なJINの頬をぐるぐるとつねって笑顔を教えてあげたり、一緒に眩しい日々を過ごす様子が描かれていきます。
それはまるで、練習生の頃は歌が苦手だったと話し、デビューの日のステージでは上手くできなかったと悔し涙を流していた現実世界のジンくんの姿や、ジンくんやメンバーたちを全力で応援していたARMYの姿と重なる物語のようです。
MV中、水遊びをする姿が描かれていますが、BTSのコンサートがある日にはコンサートの寸前にこそ雨が上がるものの何度もびしょ濡れになって楽しんだあの日々の思い出を思い出しました。

 

彼の選んだHOMEとは

地球に不時着したJINは、ある日宇宙船が迎えに来たことに気づき宇宙船の停泊する場所へと向かいます。
家を出る時に鉢合わせた少女にヘルメットを託して、目的地へと向かうJIN。
宇宙船を前にして思い出したのは少女と過ごした日々の記憶でした。
そして地球に残ることを選択したとき、JINの首筋に浮かんだ点字は「ARMY」という言葉を意味しているものだそうです。
また彼が冒頭と最後のシーンで手にしているクロスワードパズルの黒いマス目の部分も点字にすると「FOR  ARMY」になり、ラストシーンでJINが埋めるマス目に入る言葉は「FAMILY」という言葉でした。
「ARMYへ」という言葉とともに書き込まれた「家族」という一つのキーワードに、以前7人で受けていたインタビュー中“メンバーは家族だ”と言っていたジンくんの姿を思い出しましたが、どこへ旅に出ようとも帰ってくる場所が“家族の元”であることを示すようなMVの終わりには、ジンくんが何度も会議を重ねて作り上げたと話していた物語に込めた大きな愛情を感じずにはいられません。

そしてクロスワードパズルの隣のページにはこんな文字がありました。
「“THE PLANET” IS COMING BACK SOON」「ONCE MORE TO THE MOON」。
コンセプトフォトで惑星を抱えていた姿や、ソロ曲『Moon』で地球をARMYに、月をJINに例えていたことからも、“惑星はすぐに戻ってくる” “もう一度月へ”という二つの言葉は、しばらく離れ離れになるJINとARMYの仲をつなぐ未来への約束のようで、とても感慨深く、こうして作品を通してたくさんの想いを見せてくれることを一ファンとしてとてもとても嬉しく思います。

終わらないヒストリー

いつも明るい姿だけを見せたいと話すジンくんは、これまで自主制作としてSoundCloudなどで公開してきた楽曲の中でだけ心の内を明かしてくれていました。
それは大切なパートナーだったチャングやオデンやオムクへの気持ちだったり、バーンアウト期の自らの心との対話だったり(突然の釣りソング『スーパーチャムチ』だったり)その一つ一つをただの芸術作品として楽しむのではなく、誰に習ったわけでもないのに、私たち一人一人が楽曲という枠を超え、まるでジンくんから直接受け取った手紙のように、紡がれた言葉の数々を言葉そのままにまっすぐ受け止めてきたのは、考えてみれば当たり前のことではないのではないかと思います。
そしてそれは、ジンくんがいつも正直な態度で心を込めて私たちと向き合ってきてくれたからこそ築かれた関係なのではないでしょうか。

 

『Moon』の中の“どんな言葉より、「ありがとう」という言葉より、僕は君のそばにいるよ”というあの詩のように、“壊れない星になって”私たちの夢であり続けてくれる彼からの最高の贈り物を抱きしめて、私たちは短くて長いその歳月を過ごすのでしょう。

差し出されたヘルメットのようにいつも私たちを守ってくれた、
よろよろと拙い足取りで漕いだ自転車を支えてくれた、
温かくて大きなその手を離れても、一人でハンドルを握り軽やかに自転車を漕ぎ始めたあの女の子のように、逞しく元気にその歳月を過ごすのでしょう。
いつかまた彼の帰ってくるこの場所が
素敵なホームになるように、
もらった贈り物の大きさに見合うだけの
素敵な人になれるように。

 

 

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