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BTS RM「Indigo」Yun (with Erykah Badu) 【日本語歌詞 / 和訳 / 解説・考察】



BTS RM 1stソロアルバム『indigo』より、「Yun (with Erykah Badu)」の歌詞の和訳と解説です。

 

 

Yun (with Erykah Badu) 日本語歌詞・和訳

 

※意訳を含みます

 

 

Yun (with Erykah Badu) 楽曲紹介


RMの尊敬する画家ユン・ヒョングン氏のナレーションと、ネオソウルの母と呼ばれるエリカ・バドゥの歌声が彩るオールドスクールヒップホップである「Yun」。
アルバムのカバーにはユン・ヒョングン氏の絵が描かれていることからアルバムの一曲目をこの曲から始めることにしたそうです。
ユン画伯の作品とメッセージに感銘を受けたRMがチームや自分に対する“今考えていること”を淡々と綴ったという一曲。

 

歌詞解説・考察


歌詞中に“真理”という単語が登場しますが、これはイントロとアウトロ部分で聴こえるユン・ヒョングン先生のお話に出てくるテーマです。

ユン・ヒョングン先生のナレーション部分の和訳ですが、公式の歌詞は掲載されておらず自力で聞き取り訳したものの為参考程度にご覧ください。

 

一生真理に生きていかなければならないということだ。
プラトンの人文学では人間の本質だが、
真善美…。真実の「真」と善良な「善」と美しい「美」という意味で、
私の考えでは「真」一つだけ持っていれば全て解決されるように思う。

『Yun』introより

 

死ぬまでやったとしても出来ないよ。
そうしたくても出来ない。
そうすると欲を全部捨てて、、すべての欲を捨てなければならない。
無邪気な世界に入らなければならない。
それで、私はそうしたくても出来ないんです。
でも死ぬまでそうしようと努力はしないと。それが人間の目的だと思う。

 

『Yun』outroより

 

イントロのナレーションにある“一生真理に生きていかなければならない”という言葉を受けて

“ 나 당신이 말한 진리가 뭔지 몰라 다만 그저 찾아가는 길 위 나의 속도와 방향 ”

( 僕はあなたが言った真理が何なのか分からないけど ただ訪ねる道の上の僕の速度と方向 )

という詩が登場します。

“あなたが言った”の“あなた”はユン画伯のことを指しており“「真」一つだけ持っていれば全て解決される”という「真」を探す旅の中にあるという現状の話が伺えます。
続く“きらめく火花はいつか地へ カエサルのものはカエサルに”という詩の

“きらめく火花はいつか地へ”の火花は同アルバムのタイトル曲『Wild flower』の花火と同じ意味と取れます。今花火が夜空を彩るように輝いているが“いつかは着地する”というBTSの楽曲にも登場する言葉をとても端的に表現しています。
“カエサルのものはカエサルに”という言葉には、この世の全てのものは本来あるべき場所に戻すべきだという意味があるそうです。

“芸術をする前に人間でいなければならない”というユン画伯の考えと本来の自分らしさを失いたくないと足掻くRMの考えがこの一文により見事に溶け合い表現されているように感じました。

 

 

またこれはユン・ヒョングン氏とは関連がなく言及されていない部分ですが、RMの愛読書に通ずる歌詞も。

 

That's where you belong(あそこがお前の居場所だ)
Oh you gon’ be alone if(あぁ、それならひとりぼっちだ)
何でもないその本心に固執したなら
チームを抜けたお前は 正直なんて事ないよ、お前なんて
高速道路で細道に行こうとするお前は
ただ僕の言うことを聞いてくれ そうしたら全て失うんだぞ

 

冒頭に載せている全訳では“Oh you gon’ be alone if”を上記のように意訳していますが、ストレートに訳すと“もし一人だったら?”という気持ちに囚われたとき聞こえるのは“チームを抜けたお前は 正直なんて事ないよ”という歌詞につながります。
BTSという枠からはみ出してしまえば自分には何も残らないのだから横道に逸れるのはやめろと自分に言い聞かせるような場面の中で横道に逸れることを“高速道路で細道に行こうとする”と表現されています。
高速道路の細道という言葉はRMの好きな村上春樹の小説『1Q84』の中に登場する高速道路の非常階段を降り異世界に迷い込むという描写を思い出しました。
“高速道路”という言葉は“目まぐるしく進む同じ日常”の比喩で、非常階段を降りるという行動は非日常(異世界)へと移動するといった意味が込められているのではないかと解釈しているのですが、『Yun』の中の歌詞でも同様に目まぐるしく進む同じ日常から全く別の世界をのぞいてみたいという欲求を表現している一文なのではないでしょうか。

 

またRMは“本当の美しさは本当の悲しみ中に 今 君は僕の狂気を感じることができるかい?”というユン画伯の言葉を英文に翻訳した歌詞について、「どういう意味なのか正確には理解していないけれど、すごく嬉しくても涙が出て、悲しくても涙が出るというような意味だと思う」と話していました。(『RM All day part2』より)

 

 

一つの文章から10を語るように表現された詩は、何も言葉を語らずともいくつもの感情を呼び起こす絵画のようで、とても美しく端的な表現されたRMが今考えていること。
ナレーションの最後の言葉は“でも死ぬまでそうしようと努力はしないと。それが人間の目的だと思う。”という言葉でした。
結局のところユン先生の話す真理は分からないけれど、それを探す道の上で“良い大人でありたい”と願う彼は、他のメンバーと同じ話をしている彼は、どうしようもなくBTSの一員であり、その飾らない素直な願いに私たちの心を掴んで離さないのです。

 

 

RM of BTS: Tiny Desk (Home) Concert - YouTube

 

 

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