MENU

BTS Jimin(ジミン)「FACE」全曲 【日本語歌詞 / 和訳 / 解説・考察】



BTS Jimin 1stソロアルバム『FACE』に収録された全7曲より韓国語の歌詞のある楽曲の和訳(日本語歌詞)や楽曲解説をまとめました。

MVやさまざまな過去のコンテンツとの関連の解説、考察など順次更新予定です。

 

 

 

 

1  Face-off

 

トラップソウルジャンルの楽曲で、冒頭の『ねこふんじゃった』のコミカルなメロディが同じリズムのフレーズに変化しながら楽曲の空気感を一変させていく様子は、BTSのメインプロデューサーPdogg氏の手腕を数秒で感じさせられるすばらしいアルバムのスタートとなっていました。
過去のコンテンツで遊びながら『ねこふんじゃった』を弾いていたジミンの姿を思い出したファンも多くいたのではないかと思いますが、あどけなさのあるコミカルなメロディから一変し酒を浴びながら自分の内なる葛藤を吐露するという歌詞の世界観は、個人的にJimin版『Tony montana』(Agust D 1st mix tapeより)のような世界を感じました。

 

 

loveyourself-rhythm.com

 

 

 

2  Interlude : Dive

 

1曲目『Face-off』の逆再生により始まるこの曲は、幸せだった記憶や悲しみ、寂しさなどを抱き夢の中に入っていく過程を夢幻的な楽器サウンドで表現した楽曲だそうです。

ジミンくんの生活の中の音に混じりコンサートでのARMYの歓声や自己紹介をする懐かしい声の響きに思わず涙腺のコントロールを奪われてしまいそうになる楽曲です。

 

 

3  Like Crazy

 

このアルバムのタイトル曲でもある『Like Crazy』は、ジミンの好きな映画『Like Crazy』からインスピレーションを受けて作成された楽曲です。
夢の中で愛した相手を探しながら苦しみもがき、華麗な光に閉じ込められ自分を失っていくが、それでも永遠に夢の中に留まりたいという詩の内容をまるで一本の映画のように見事に表現したボーカルの魅力が光る作品です。

 

 

loveyourself-rhythm.com

 

 

 

4  Alone

 

ポップバラードジャンルの楽曲で、パンデミックの中、自分だけが取り残されているような不安や恐怖など率直な感情を盛り込んだ情緒あふれる一曲です。

 

loveyourself-rhythm.com

 

 

 

5  Set Me Free Pt.2

 

アルバム発売前に先行公開されたMVも大変話題となった一曲。
ヒップホップジャンルの楽曲で華やかなブラスやドラムライン、オーケストラやコーラスの印象的なサウンドや“狂わないために狂わなければいけない”という歌詞はBTSの『ON』の世界観も彷彿とさせます。
『ON』には“自ら足を踏み入れる美しい監獄”というリリックが登場しますが、この楽曲のMVのセットは監獄になっており、監獄の中で舞いながら繰り返される“Set me free(解き放たれる)”というメッセージが視覚的にも強く印象に残る重厚な楽曲です。

 

 

loveyourself-rhythm.com

 

 

 

6  Like Crazy (English Version)

 

タイトル曲の英語Verで、原曲とはまた違った言葉の響きがジミンの七色の声の魅力を存分に引き出しています。

 

 

 

7  Hidden Track ‘Letter’

 

各配信サイトでは未配信でアルバムにのみ収録されている隠しトラック『Letter』。
そのタイトル通り、ジミンくんの分かりやすく飾らない言葉で綴られた手紙に、これまで7人のメンバーたちと過ごした思い出が走馬灯のように思い起こされ涙なしでは聴けない楽曲です。
クライマックスでジョングクと織りなす心に染み入るような美しいハーモニーも必聴です。

 

loveyourself-rhythm.com

 

 

FACEに寄せて

 

BTS Jiminが満を辞して発表したファーストソロアルバム『FACE』。
パンデミックの中で経験した感情の浮き沈みを率直に盛り込み、華やかな人生の裏側にある寂しさと彷徨いを音楽に昇華し誕生したこのアルバム。
タイトルの『FACE』には本当の自分自身に直面したという意味を持つそうです。

 

タイトルに込められた意味に相応しく、1曲目の『Face-off』のタイトルの単語は「対立する」「試合開始」などを意味を含み、自らの内面と顔と顔を突き合わせるような対決が幕を開けます。
そして2曲目の『Interlude : Dive』ではJiminの日常の音を聴きながら、華やかなステージの裏で息を切らす様子、一人静かな車内で帰宅する様子など、一人の人間としてのパク・ジミンを想像させる楽曲となっており、その最後にグラスにお酒を注ぐような音は、まるでJiminのダンスのようにしなやかに軽やかに美しく3曲目のタイトル曲『Like  Crazy』へと繋がっていきます。
酒に溺れ、夢の中で自分自身を見失いながらそれでも夢を見続けていたいという楽曲の世界観は、続く4曲目の『Alone』の冒頭のアラーム音の、夢を断ち切るような虚しく無機質な音をより引き立てます。
アラームにより夢を断ち切られ、ひとりぼっちの現実の自分と向き合う『Alone』。
“やり直せる、きっと大丈夫さ”という優しい言葉を笑うように響く “Lie”という言葉で幕を閉じ現実を俯瞰したのちに始まる『Set Me Free Pt.2』。
“狂わないために狂わないといけない”というBTSの『ON』にも登場するフレーズが印象的な楽曲は、自らと向き合った先に自分を解き放ち蝶のように舞うのだという強い決意とJiminというアーティストのこれからを強く期待させるエンディングを迎えます。

 

Weverse Album ver.には、ジミンくんの手書きの制作ノートが入っているのですが、ノートを見るとアルバムの中のほとんどの詩をジミンくん本人が書いたものだということが分かります。
BTSで作曲をできるメンバーといえば、ラッパーラインの3人をイメージする方が多いと思いますが、歌やダンスでは唯一無二の才能を持ちながらも、7人の中では、曲を制作できるというイメージは少なく、自作曲も黙作だったはずのジミンくんが、こんなにも芸術的かつポップで聴き心地良く、文学的な世界観のリリックの楽曲を生み出せるということにとても驚かされました。

 

パンデミックの中、Dynamiteのヒットで世界にその名を轟かせたBTS。
果たしてDynamiteほどのギフトがこれからあるのだろうか…と勘ぐり、兵役後には今ほどの人気はなくなるのだろうと予測する人が、世間にはおそらくたくさんいることでしょう。
しかし、楽曲制作の中心メンバーではなくパフォーマンスの要を握っていたはずのJiminが、これほどの完成度のアルバムを初めてのソロアルバムで、自らの手によって作り出せるという事実は、再び彼らが7人になったときへの期待値をとても掻き立てられるような気持ちにさせられました。

 

“Now set me free”という言葉通り、今、この世界に放たれたパク・ジミンという才能のこれからの旅を、心からとても楽しみにしています。