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BTS RM 「Indigo」All Day (with Tablo) 【日本語歌詞 / 和訳 / 解説・考察】

RMの1st ソロアルバム『Indigo』よりEPIK HIGHのTablo氏とのコラボが話題の『All Day (with Tablo)』について、歌詞の和訳と解説です。

 

 

All Day (with Tablo)  楽曲紹介

 

『All Day (with Tablo)』は、チップマンクソウルという技法を用いて作られたヒップホップ曲です。チップマンクソウルとは、サンプリング音源のピッチと速度を自由自在に調整しビートに溶け込ませるという技法で、BTS『Yet To Come』もこの技法で製作されています。

詩の内容についてRMは、現代のアルゴリズムの中で生きる世界でそれぞれの好みとオリジナリティを探していく物語で、楽しく聴ける楽曲でありながらも、歌詞に込められた意味を見てくれたら嬉しいと話していました。
そしてそういった話をするときに誰か一緒に書いてくれる人がいたらと考えた時、韓国ではTabloさんがトップだと思いコラボを願い出たそうです。
RMがラッパーを目指すきっかけとなったEPIK HIGHのTablo氏との共作ということも感慨深い一曲です。

 

 

All Day (with Tablo)  歌詞和訳

 

 ※歌詞は意訳を含みます

 

 

 

歌詞解説・考察

 

歌詞についてRMは「アルゴリズムの時代に楽しく暮らし何かを長続きさせるには、自分だけのものがなくてはならないと思うんです。」と話していました。

はじめのverseではアルゴリズムに支配された世の中で自分の好みやオリジナリティを模索する姿が描かれています。

멋진 옷을 입은 멋진 춤 추는 이들
밖은 몸치가 더 많네

(洒落た服を着た洒落た踊り手たち 
 よそにはダンス音痴が多いね)

この部分では「멋진(かっこいい)」と「몸치(ダンス音痴)」という似た響きの言葉の重なりが面白い場面です。

そしてRMパートのhookでの“I’m diggin’ all day”の「diggin’(dig +ing)」とはHIPHOPのスラングで「dig(ディグる)=〜を探す」という意味の言葉です。

 

続くTablo氏のverseで登場する「중립기어(ニュートラルギア・中立ギア)」という言葉は、“過激な話題や是非を問う事案が提起された時、中途半端な判断をせず、ひとまず様子を見ようという意味“の新造語だそうです。
私は初めて知った言葉だったのですがハングルで検索したところたくさんのツイートがヒットしたので、韓国の中では普段から使われいる言葉のようでした。

 

어서 접어, origami
(早く折って折り紙)

という詩の「접어(접다)」には、「折る、畳む、折り畳む」という意味があり続くオリガミという言葉にかかっていきますが、その他に「控えめにする、引っ込める、大目に見る」などの意味もありダブルミーニングとしての遊び心を感じられる場面です。
後者の意味としては、その前の詩から続く詩とつなぐと
さまざまな問題についてみんな何も身動きを取らず中立でいる状況において、“
어디서 감히 생각을 말해?(どこで畏れ多くも考えを話すの?)”という言葉に続き“어서 접어(早くその考えを引っ込めて)”という詩が登場します。

現代で誰もが感じたことのある葛藤の話をしている詩でありこの部分を誰が書いたのかは分かりませんが、個人的にTablo氏のパートには、何か社会的な問題に対して何も発言もしていないにもかかわらず矢面に立たされたり立場や意見の表明を求められ、求められたから何かを話せばたくさんのノイズを投げられ、一ファンから見ると世界的アーティストという冠ゆえに思いのままの言動を制限されてしまったのではないだろうかと感じていた、ここ数年のBTSの状況を思い出す場面でした。

それゆえにRMの夢の始まりにいたTablo氏のラップで紡がれる“お行儀よく!と言われたら俺たちは抗うのさ、俺たちのDNAにはdynamiteがあるんだ”という詩は自分たちだけのオリジナリティで突き進んでも良いのだと背中を押してくれるような、RMに向けた心強いメッセージのように感じてとても好きなリリックです。

Get yo ass off the bench, start warmin’ up
We gotta fight when they say, “Behave!”
We got dynamite in our DNA

(ベンチから降りて
 ウォーミングアップを始めろ
 “お行儀よく!”と言われたら
 俺たちは抗うのさ
 俺たちのDNAには
 dynamiteがあるんだぜ)

 

ラストの“You gotta believe it”は和訳の中では少し柔らかく意訳していますが、「You gotta」は「〜しなきゃ」という意味で自分を奮い立たせるながら高く舞い上がっていく描写のように感じました。

そしてRMとTablo氏の二人の紡ぐ物語を締める“We know we fly all day”という一文。

この“Fly”はRMの夢の始まりになったEPIK HIGHの楽曲のタイトルである『Fly』へのオマージュになっています。ラッパーを夢見た一人の少年がその夢の中にいた憧れの人と肩を並べている現在に胸を打たれる最高にかっこいいエンディング。
この点についてRMは、“We know we fly all day”とTabloさんの歌詞の中にも“We got dynamite in our DNA”とBTSにシャウトするフレーズがありお互いに呼応し合うようなエッセンスが含まれていると話していました。
RMが幼い頃に耳にし、学園祭で歌ったりしていた希望に溢れていたあの頃の音楽。
この曲が20代のアーカイブとしての『Indigo』の中の一曲であること。そのことについて、一人の青年の歩いてきた道のりに思いを馳せずにはいられません。

 

 

 

loveyourself-rhythm.com

 

※インタビュー引用元の動画です

youtu.be