今世界で最もHOTな韓国の人気ボーイズグルーブBTS(防弾少年団)。
BTSの最新アルバム‘Proof’がより一層味わい深くなる、これを知らなきゃまだARMYとは言えないと言っても過言ではない(!?)7人が歩んで来たこれまでのBTSのヒストリーを音楽の視点からまとめました。
- 1 学校三部作
- 2 Born Singer
- 3 花樣年華
- 4 WINGS
- 5 LOVEYOUESELF
- 6 MAP OF THE SOUL
- 7 BE
- 8 Butter、Permission to Dance
- 9 My Universe
1 学校三部作
「学校三部作」とは、BTSのデビューシングルアルバム『2 COOL 4SKOOL』、『O!RUL8,2?』から2nd ミニアルバム『SKOOL LUV AFFAIR』まで、夢見ることなく生きる若者たちや固定概念を強いる学校への疑問、そして反発など、抑圧された10代の心を代弁しながら、少年たちの夢や幸せについて語られたシリーズです。

「No More Dream」
BTSのデビュー曲「No More Dream」は、 “お前の夢はなんだ?”と問いかける強いメッセージと共に学歴社会を風刺したヒップホップナンバー。
お前が夢見てた姿はなんだ?
今 鏡の中には誰が見えるんだ?
お前の道を進めよ
曲中に登場するメッセージは、現在のBTSの音楽に於いても一貫して語られているテーマです。
「We Are Bulletproof Pt.2」
デビュー前に公開された「We Are Bulletproof Pt.1」(現メンバーでのバージョンは2015年FESTA期間に公開)に続きデビューシングルアルバム『2 COOL 4SKOOL』に収録された「We Are Bulletproof Pt.2」。
J HOPE、JIMIN、JUNGKOOKによるダンスブレイクは必見です。
「N.O」
『2 COOL 4SKOOL』に続きリリースされた1stミニアルバム『O!RUL8,2?(Oh!Are you late, too?)』のタイトル曲「N.O」では、他人の決めた幸せではなく、自らの人生と幸せを見つけなければいけない…というメッセージが語られました。
「学校三部作」を経て満を持してリリースされたファーストフルアルバム『DARK&WILD』もまた、今でも根強いファンの指示を得ている、HIPHOP色が強く芸術性の高い一枚です。
2 Born Singer
BTSはアルバムの他にもオンライン上で、無料の音源を数多く公開しています。 その中からデビュー1ヶ月を記念して公開された「Born Singer」。
「Born Singer」はJ.Coleの「Born Sinner」を元にメンバーたちが新たに詩をつけリビルドした一曲。
デビューまで走り続けてきた7人の、デビュー前とその後の心境を赤裸々に綴った歌詞には、何度聴いても胸を打たれます。
I'm a born singer
少し遅れた告白
いつも遠いだけだった蜃気楼が目の前にあるよ
I'm a born singer
もしかしたら早めの告白
でもあふれるくらい幸せだよ I`m good
2017年の年末に行われた『BTS WINGS TOUR THE FINAL』のアンコールでは、7人が円になり向き合う中で「Born Singer」を歌う…という演出があり、彼らの歴史やこれまで積み上げてきた絆を感じられる思い出の瞬間となりました。

「So 4 More」
そしてデビュー1周年にUPされた「So 4 More」。
一年が過ぎて
一年が来ても
君と僕は共に この旋律の上をまた歩くだろう
この夜が来て
この夜が過ぎても
より良い人生のための演奏は続くだろう
ここで語られたアイドルとしての自分と本来の自分、夢や目標をまっすぐに見据え走り続ける彼らの心の葛藤は今も彼らの楽曲の根底に流れ続けているテーマのように感じます。 この時はまだ、BTSというグループがこれほどまでの人気を集めることになるとは思いもよらなかったであろう彼らの胸の内を垣間見ることのできる一曲です。
これは番外編…(?)ですが、ミックステープやカバー曲など、先述の「So 4 More」のように無料で公開されている音源の中でも、2014年、クオズ(95年生まれのジミン、テヒョンの愛称)が学校を卒業するタイミングで公開された「95 graduation」は、デビュー後に忙しくなり卒業式にも行くことのできなかった2人から友人たちへの想いに触れることのできる切なく可愛らしい曲です。
3 花樣年華
『花樣年華』Pt1、Pt2、『YOUNG FOEVER』(リパッケージアルバム)の3作からなる花様年華シリーズは「青春三部作」とも呼ばれ、儚い青春の美しさと危うさを描いたそのコンセプトは、大きな注目を集め、BTSの人気を一躍確固たるものに押し上げました。

中でも自身の楽曲で初めて音源ランキングで1位を獲得した「I NEED U」は、2019年12月23日にYouTube再生回数2億を突破したことも記憶に新しいBTSを語る上では欠かせない代表曲です。
“花様年華”というコンセプトを掲げ、言葉が分からなくてもストーリーを通して楽曲の魅力を堪能できるようにと創りこまれた、そのMVの世界観にも多くのファンたちがひきこまれています。
今でこそ世界的人気を誇り、数々の賞を総なめにしているBTSですが、音楽番組のランキングで1位に輝いたのはこの「I NEED U」が初めてでした。
「[BANGTAN BOMB] after M!countdown」 にて公開されている収録後に涙したジミンくんや1位を獲ったあとトロフィーを見つめるSUGAの姿など、まだ初々しい彼らの喜ぶ姿は忘れられません。
「引っ越し」
BTSを一躍人気アーティストにした『花様年華』にはこの他にもBTSの歴史を語る上では欠かせない数々の名曲が収録されています。 その中でも「引っ越し」は、花樣年華のストーリーに準えたものではなく、彼ら自身の当時の想いが込められているように感じます。
Ayo SUGA
3年前、ここに初めて来た時のことを覚えてる?
なぜだったかヒョンと俺が殴り合っていた時
壁紙もトイレもベランダも 全部が青い家
あの時 俺はここがマジですげぇ広い家だなと思ったんだ
そんなRMの語りから始まるこの歌は、青い家での思い出と共に語られる、これからもっと高みを目指して走っていこうという7人の決意と絆を感じさせる楽曲です。
引っ越ししよう
今はもう もっと高いところに
そんな7人の決意を感じるフレーズと、 “今度の引っ越しの吉日はいつかな 早くその日が来るといいな”というSUGAパートにも、当時の彼らの素直な心境を感じられ、今となってはとても感慨深いものを感じます。 リアリティ番組「Bon Voyage」でジミンくんが2段ベッドの上と下で、テヒョンくんともめていたあの家が一番好きだったという話をしていました。 この青い家かどうか定かではありませんが、彼らにとって、大きな家で暮らせるようになった今でも、7人で暮らすには決して広いとは言えなかったこの家で過ごした日々の思い出が、とても特別なものだという事をこの曲を通して伺い知ることができます。
「Whalien 52」
そして「花様年華」で外すことのできない一曲が「Whalien 52」。
タイトルに登場する“Whalien”とは52ヘルツで話すクジラを表した造語です。 52ヘルツで鳴くクジラは実在されるといわれていますが、その姿を見たものはまだ誰もなく、同じクジラの仲間たちにも聴こえない声で鳴く「世界でもっとも孤独なクジラ」だといわれています。( 52ヘルツの鯨 - Wikipedia )
ひとりぼっちの孤独なクジラ
こうしてひとり 歌を歌う
ぽつんと離れた島のような僕も
明るく輝くことができるだろうか
ひとりぼっちの孤独なクジラ
こうしてまた もう一度歌うよ
答えのないこの歌が
明日に届く時まで
この歌に登場する“Whalien”とは小さな事務所からデビューし、少しの賞賛とたくさんの罵倒を浴びながら、多くの逆境を乗り越えて来たBTSのメンバーたちの化身であり、そんな彼らに共鳴するARMYたちでもあるのです。
花様年華が終わった今も、彼らの楽曲やコンサートの演出の中に度々現れるクジラ。
この世界のどこかで泳いでいる52ヘルツのクジラは、実際に少しずつその鳴き声のヘルツが下がってきているといわれています。その理由は分かりませんが、おそらく自分とは違う鯨たちと会話をするために、52ヘルツのクジラは今日もまた、少しずつ進化を遂げているのではないでしょうか?
デビューから花様年華シリーズを駆け抜けた彼らがソウル体操競技場で行った初の単独コンサート『BTS Live 花様年華 on Stage : Epilogue』のステージにて、目の前に広がる無数のARMY BOMBの光に照らされながらこの歌を歌い涙したテヒョンくんの姿は忘れられません。 誰にも聴こえない声で歌っていた孤独なWhalienの声は、今、世界中のARMYの心に響いているはずなのです。
4 WINGS
少年たちが出会う誘惑をテーマにしたWINGSシリーズは、少年から大人になるように“卵から孵って飛び立とうとする鳥の羽ばたきを連想させる”内容です。
この『WINGS』で初めてメンバーそれぞれのソロ曲がアルバムに収録されるなど、実験的な内容になったこのアルバムで今までにないジャンルに挑戦したという「血、汗、涙」では年末の歌謡祭で大賞を受賞するなど、アルバムのタイトル通り、彼らをまた一つ上のステージへと羽ばたかせる作品となりました。
今では数々の賞を総ナメにしているBTSですが、初めての大賞を受賞する直前、名前を呼ばれる前の緊張した7人の表情や壇上で涙した彼らの姿、一つ一つの言葉に、7人の人柄や真摯に音楽と向き合う姿が感じられる瞬間でした。(※現在は公式動画非公開となっている為SNS等での拡散は控えております。)
またこの『WINGS』では「NOT TODAY」や「春の日」をはじめ、初めてのファンソング「2!3!」や現在でもコンサートの定番曲として毎回会場を盛り上げている「Outro:Wings」などたくさんの名曲が収録されています。
5 LOVEYOUESELF
2017年、アジアの中の一つの国である韓国のボーイズグループBTSがあの世界のBillboard Music Awardの舞台でこれまでジャスティンビーバーが何年も独占してきたトップソーシャルアーティスト賞を受賞しました。
その歴史的瞬間とも言えるスピーチでリーダーのRMから語られた言葉、
「ARMYの皆さん、
この言葉を覚えていて下さい。
Love myself, Love yourself」
その言葉から始まった、起承転結からなるLOVE YOURSELFシリーズは全世界のARMYたちに愛される作品となり、彼らの現在の爆発的な人気の起爆剤になりました。
DNAを収録した『LOVEYOURSELF 承:Her』を皮切りに自分を愛することへの探求をテーマにしたこのシリーズ以降、BTSはユニセフとパートナーシップを結び「#ENDviolence」というキャンペーンを行なっています。 そしてその活動の一環として国連でスピーチを任されるなど、韓国のアーティストとして初めての数々の偉業を更新し続けています。
また花様年華でたくさんの人たちを惹きつけたストーリー。その物語が、承、轉の次に映像作品として公開された『LOVE YOURSELF 起 : Wonder』の中で再び意外な展開を見せるなど、ミステリアスなストーリーによってたくさんのARMYたちを魅了し続けています。 (このMVは「BTS (방탄소년단) 화양연화 on stage : prologue」をはじめ、花様年華・WINGS Short Filmシリーズと似た描写がたくさん仕掛けられており、そのあたりのMVを知った上で観るとまた一段と興味を唆られる内容になっています。)
「MIC Drop」や「FAKE LOVE」、「IDOL」などの人気曲を収録したこのシリーズのラストを飾る「Answer」。
“You’ve shown me I have reasons I should love myself”
“君が教えてくれた 僕には意味があると
僕は自分を愛するべきなんだ
僕自身、まだ愛することを学んでいる途中で
まだ僕の中にも相変わらず下手な僕がいるけど
昨日の僕、今日の僕、明日の僕
余すことなく全てみんな僕なんだ”
要約するとそんな言葉たちが綴られた、BTSが当時感じていた自分自身を愛することのひとつの答えが詰め込まれています。
6 MAP OF THE SOUL
LOVE YOURSELFという大きなテーマを掲げ駆け抜けてきたBTSが新たに打ち出した『MAP OF THE SOUL』。 『MAP OF THE SOUL : PERSONA』では、これまでBTSを支えてきたARMYたちへの“君のことが知りたい”というメッセージと共に、他者への関心や世間から見た自分の姿を探す過程が、続いてリリースされた4枚目のフルアルバムとなる『MAP OF THE SOUL : 7』では、自らの影と向き合い、それすらも自分の一部であることを認めようと努める、ありのままの彼らの心の内が語られています。
エド・シーランとのコラボでも話題になった「Make It Right」のMVでは、約2年半を通して走り抜けたLYS、SYSツアーから、スタジアムという大きな舞台に立ち、いつも全力で駆け抜けていた彼らのきらめきが収められています。
「We Are Bulletproof : the Eternal 」
デビュー前、RMと当時のメンバー構成で公開されたPt.1(現メンバーでのバージョンは2015年FESTA期間に公開)、デビューアルバムに収録されたPt.2に続く「We Are Bulletproof : the Eternal」は前作とは180度曲調が変わり、これまで歩んできた“防弾”の歴史や成長、ARMYとの絆を感じさせる一曲になっています。
ユング心理学をベースに自分の内面と向き合った旅の果てで、ありのままの自分を受け入れようと歌う「Outro: Ego」。その答えにたどり着く直前にこの楽曲が収録されていることにも大きな意味を感じることができます。

7 BE
2020年11月20日にリリースされた『BE』。
米ビルボードのメインチャート「Hot 100」で1位を記録した爆発的ヒットナンバー「Dynamite」に続きBTSのメンバーたちが紡いだ新たな物語は、コロナウイルスのパンデミックにより多くの人々が無力感を感じる中で、先の見えない不安や恐怖、それでも乗り越えていこうと奮闘する、彼らのありのままの気持ちが込められた作品です。
またこのアルバムでは、作詞作曲などの楽曲作業の他に企画からコンセプト、アルバムの構成、パッケージや写真にMVなど、全ての行程でメンバーたち自らが積極的に参加し、7人の意見が色濃く反映された作品となっています。
約8ヶ月の間の制作過程はYouTubeで公開され、まるでパンデミックにより物理的な距離が離れてしまった友人から届いた便りのように、BTSからARMYへの贈り物のような作品です。
8 Butter、Permission to Dance
2021年にリリースされた「Butter」。
BTS初のサマーソングである「Butter」は清涼感溢れる洗練されたサウンド共に、メンバーたち曰く“深い意味はなくとにかく楽しんでほしい”という思いの込められた元気をもらえる一曲です。
そして同時リリースされた「Permission to Dance」は、「Make It Right 」に続き、エド・シーランとイギリス出身のプロデューサー、スティーブ・マックが楽曲制作に参加したことでも話題の一曲。
“ダンスすることに許可はいらない”というメッセージは明るいサウンドながらも彼らから送られる温かさや煌めきに胸がいっぱいになる楽曲です。
9 My Universe
世界トップクラスの人気アーティストColdplayとのコラボ曲「My Universe 」は、
Coldplayのクリス・マーティン曰く「人種やセクシャリティにより分断され愛することを禁じられた人たちへの歌」だそう。
かつてSUGAは“さまざまな愛の形について”意見を求められ「誰もが平等です」と答えていました。またホワイトハウスで行われたバイデン氏との対談前のブリーフィングでも「違うということは間違いではない。平等とは、心を開き、あらゆる違いを受け入れたときに生まれる。」と話したことも記憶に新しく、BTSとColdplay のメンバーたちの共通の認識の中で生まれた愛に溢れた一曲です。
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かつて旅先の宿舎に到着し、すぐにColdplayの曲を流しては“外国の空気”を楽しんでいた無邪気な彼らは、わずか数年後、その憧れのアーティストとのコラボレーションを果たします。
誰にも届かない声で歌っていたまるで孤独なクジラのようだった7人の少年たちの声は、今世界中にあふれるARMYたちの心に響いています。
BTSの最新作『Proof』のタイトル曲は「Yet to Come (The most beautiful moment)」です。
あまりにも高く飛び続け、止まることなく走り続けて来た彼らの“花樣年華(人生で最も美しい瞬間)”は、“まだこれから”なのだと期待して…。