BTS RM 1stソロアルバム『indigo』より、「Closer (with Paul Blanco, Mahalia)」の歌詞の和訳と解説です。
Closer (with Paul Blanco, Mahalia) 日本語歌詞・和訳
#Indigo
5. Closer (with Paul Blanco, Mahalia)
日本語歌詞・和訳 pic.twitter.com/3fjFSBO5s5— しお (@888s_i_o888) 2022年12月9日
※歌詞には意訳を含みます
Closer (with Paul Blanco, Mahalia) 楽曲紹介
実際に会うことが制限された世界で多くの人が経験したであろう携帯電話越しの甘い恋を歌ったこの楽曲はRMの2ndミックステープ『mono.』の収録曲『Seoul』でのコラボレーションも記憶に新しい、イギリスのエレクトロニックデュオ・HONNEをプロデューサーに迎えた一曲です。
RMは気楽に聴いてほしい一曲と紹介し、おそらく皆さんが持っているであろう携帯電話越しの想いや感情をこの楽曲を聴きながら思い出してもらえたらと各ニュースサイトから公開された楽曲紹介にて話していました。
歌詞解説・和訳
会えない恋人を想う夜更けの様子が描かれた1 verseから2verseにかけて
If I could be under your skin
Closer than we’ve ever been
We’d be closer than we’ve ever been
“もしあなたの肌の下にいられたら今まで以上に仲良くなれるのに”という歌詞や
Keep me rollin’ in the deep
“ずっと深く繋ぎ止めて”という歌詞について、
“rollin’ in the deep”は深い場所で結ばれている状態を表す表現であり、“under your skin”は体の奥の心を示しているキーワードとして解釈しています。
2人の間には物理的な距離があり、携帯越しにしか互いの姿を確認することはできないけれども心の深い場所で繋がっていたいという切実な想いを感じます。
RMは2022年のVliveの配信にて、ARMYとBTSの関係性について「お互いに縁を結んで互いの何かになった」という話をしていましたが、この2つのverseの男女の視点で描かれる想いにその時の配信で話していたことを思い出しました。
Paul Blancoのパートの冒頭
Come holla at a yungin from the block baby
この歌詞の“Come holla”はスラングで「こっちに来て話そうよ」という意味だそうです。
親しい間柄で「Holla at me(連絡してね)」という感じのラフな表現として使われているそうです。続く部分もAAVE(黒人英語)の言い回しで、“yungin”=若い男性、“from the block baby”=隣のブロック(隣町)という意味から直訳すると「隣町の若い男に挨拶しにきて」となりますが、日本語の感覚での意味としては「離れた町にいるイケてる俺に会いに来なよ」という意味の誘い文句となります。
先述の意味から次に続く“時は待ってくれないって云うだろ”という詩も「会いに来てよ、時間は待ってくれないって君も知ってるでしょ?」という会えない恋人を恋しがる様子としてとても自然に繋がっていきます。
また“diddy bop”は軽やかに歩くように踊る様子を意味する言葉で、Paul Blancoの歌声と彼の声の創るグルーヴがとても心地よい部分です。
If love ain’t for us
이걸로 만족할게
I don’t need your touch
너의 사랑이면 돼
“もし愛が僕たちの為にないのなら
これで満足するよ
君に触れられなくたって構わない
君の愛でいい”
この詩に登場する“love”は世の中の広い意味での「愛」を指すことに対して“사랑”はとても個人的な「愛」を示しているのではないのかと思います。
人と人の距離の開いた愛(優しさ)のない世界だとしても“君の愛”だけあればそれでいい。だからそこにずっといてほしいと願う切ない恋心が歌われているのだと感じました。
またこの部分のビートは心臓の音のようでムードのあるリリックの中でも、より深い心での繋がりを聴覚からも感じ取ることができます。
この曲の解釈としては、2020年以降のとてもスイートな恋人たちのラブソングとしての解釈と、もう一つ、画面越しでだけつながることのできるRMとARMYとの関係を表した歌としての解釈もできるのではないかと思います。
(追記:『RM Indigo Magazine Film』内で、本人の解説からも自分とARMYの関係の歌かもしれないと言及していました。)
冒頭のverseから過去に話していた「お互いに縁を結んで互いの何かになった」という心で結ばれた関係性を彷彿とさせられたと書きましたが、真夜中にお互いを想い、遠く感じているという詩にはVとのユニット曲『4 O'CLOCK』にて“僕らはmoon child”“月明かりの下、散らばった僕を拾い集める”という、真夜中にだけ本当の自分になれるという詩を思い出しました。
私たちは互いに交わることない世界でそれぞれの日常を過ごしています。慌ただしい日々の中で、真夜中の一人きりの時間になった時にだけ、彼らの音楽やさまざまなコンテンツに触れることができるという人も少なくないのではないでしょうか。
そして最後を結ぶ“Stay where you are”という詩には、BTSとARMYの関係を歌った『Stay』の“I know you always stay(君がいつもここにいると知ってるよ)”という詩を思い出しました。
楽曲の解釈はさまざまなので、これは一つの持論であり正解も不正解もないというのが個人的な意見ですが、RMの「気楽に聴いてほしい」という言葉通り、この甘いラブソングに蘇ってくるそれぞれの“携帯電話越しの想い”を思い出すヒントになれれば幸いです。